JR学園都市線・北海道医療大学-新十津川間が2019年廃止へ。沿線自治体の廃止合意

2022年5月21日

  夜の桑園駅に入線する学園都市線・あいの里公園行きの電車

学園都市線・北海道医療大学-新十津川間が廃止へ

ついにJR北海道の学園都市線の一部廃止が決まりそうですね。

2016年11月にJR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区」として発表した10路線13区間のうちの1つ、学園都市線の北海道医療大学駅から新十津川駅までの区間が早ければ来年(2019年)に廃止になりそうです。

いや、私の正直な感想を言わせていただくと、良く今まで維持してきたなという感じです。平行している国道275号線は私もたまにクルマで通り、この路線の列車を見かけるのですが、たいてい1~2人しか乗っていません。そんな路線を「廃止反対」なんて、誰が言えましょう?

JR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区」を発表した直後は、沿線自治体(当別町・月形町・浦臼町・新十津川町)は協議に応じなかったのですが、一昨日(2018年10月12日)行われたまちづくり検討会議において、廃止を容認しました。これにより、1935年(昭和10年)から存続していた同区間の歴史は84年で幕を閉じることになります。

学園都市線(札沼線)歴史

さて、ここで学園都市線の歴史を振り返ってみましょう。
現在はこの「学園都市線」という愛称が定着しましたが、この路線の正式名称は「札沼線(さっしょうせん)」です。札幌の「札」と沼田町の「沼」で「札沼線」。なんで沼田?と思うかもしれませんが、現在は新十津川駅が終着のこの路線は、開通当初は沼田町にある石狩沼田駅が終着駅でした。



・1931年(昭和6年) 国鉄「札沼北線」として石狩沼田駅 – 中徳富駅(現新十津川駅)間が開通
・1934年(昭和9年) 札沼北線が浦臼駅まで延伸
・1934年(昭和9年) 国鉄「札沼南線」として桑園駅 – 石狩当別駅間が開通

なんと、最初に開通したのは札幌側ではなく、現在はすでに無い石狩沼田側だったんですね。
札幌側も面白いことに、設置された駅が、

 (桑園)-新琴似-篠路-石狩太美-石狩当別

と4駅しかありません。ちなみに、現在は、

 (桑園)-八軒-新川-新琴似-太平-百合が原-篠路-拓北-あいの里教育大-あいの里公園-石狩太美-石狩当別

と石狩当別まで11駅あります。すごい発展ですね!!

と、こんな感じで札沼北線と札沼南線に分かれていた札沼線なんですけど、計画どおりすぐに統合します。

・1935年(昭和10年) 石狩当別駅 – 浦臼駅間が開業。これにより桑園駅から石狩沼田駅まで全線開通し「札沼線」と名称を改める

それでも、華やかな時代は長続きしません。

・1972年(昭和47年) 新十津川駅 – 石狩沼田駅間が廃止
・1979年(昭和54年) 桑園駅 – 新十津川駅間の貨物営業廃止
・1986年(昭和61年) 新十津川駅を無人駅に変更

ただし、札幌側は発展していきます。

・1986年(昭和61年) あいの里教育大駅開業
・1987年(昭和62年) 新川・太平・百合が原の各臨時乗降場を旅客駅に昇格
・1988年(昭和63年) 八軒駅を新設
・1991年(平成3年) 「学園都市線」の愛称を設定
・1995年(平成7年)~2000年(平成12年) 八軒駅 – あいの里教育大駅間が複線化

そして、本件の一部廃止へ。

・2016年(平成28年) 浦臼駅 – 新十津川駅間が1日1往復のみの運行に
・2016年(平成28年) 北海道医療大学駅 – 新十津川駅間が「当社単独では維持することが困難な線区」と発表
・2018年(平成30年)10月12日 当別町も含めた北海道医療大学駅 – 新十津川駅間沿線4町が同区間の廃止を受け入れ

という流れになっています。(参考:Wikipedia

北海道医療大学~新十津川の代替交通について

さて、「ほとんど乗客が乗っていない」とはいえ、「無くなってしまうと困る」のが鉄道ですよね。当然代替交通が必要となります。

今回の廃止を周辺自治体が受け入れるにあたって、JR北海道側から代替交通の提案がありました。それは以下のような内容です。

◆石狩当別駅-石狩月形駅間



月形までは現在もそれなりに便数が多いんですよね。当別から月形高校へ通う生徒が結構いるみたいです。そのような利用客に対する配慮も含めて以下のような提案になっています。

・バス路線を石狩当別駅-北海道医療大学駅-月形町間に新設
・石狩当別駅-北海道医療大学駅間の普通列車を増便
・北海道医療大学駅にバスターミナルを新設

◆石狩月形駅-浦臼駅間

この区間も月形高校へ通う生徒がいるみたいなので、

・バス路線を月形町-浦臼町間に新設

するらしいのですが、これだけだと札幌への移動が不便なので、

・浦臼駅-鶴沼市街-奈井江駅間の浦臼町営バスを土休日運休から毎日運行へ変更

するとのことです。
奈井江駅は特急が止まりませんので札幌への足を考えるなら美唄駅か砂川駅にすればよいと思うのですが、やっぱり距離があるから難しいのかな?

◆浦臼駅 – 新十津川駅間

この区間は、逆向きではありますが、浦臼駅-新十津川町役場-滝川駅間を走るバス路線がすでにあるので、これを活用する方向で検討ということらしいです。

まとめ

ということで、まだ正式に日程が発表になったわけではありませんが、近いうちにJR学園都市線が短くなってしまうみたいです。仕方ないとは言え、寂しいですよね。

学園都市線には札幌駅からあいの里公園までしか乗ったことがないのですが、平行している国道275号線は何十回も利用したので、新十津川までの沿線の風景は脳裏に焼き付いています。その風景の中から、そして、あそこで暮らす人たちから鉄道が奪われるのかと思うと、胸が締め付けられる感じがしますね。

せめて、北海道各地でもそうしているように、少なくとも「そこに鉄道があった」痕跡は、残しておいてほしいと思います。

 
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